矯正治療を始める前に精密検査、口腔衛生指導を行い、むし歯や歯肉の病気があればその手当てをいたします。
精密検査は、歯の型、顎および歯全部のレントゲン写真、顔のレントゲン写真、口や顔の写真などをとってよく調べることです。
悪い歯並び、かみ合わせは遺伝によることもありますし、むし歯が大きな原因になることもあります。また指しゃぶりなどの悪い習慣によっても起こります。診 断をして治療方針を決める時に、これらの有無が非常に参考になりますから調査表でいろいろとお尋ねいたします。
これらの結果を分析、診断して、矯正治療の進め方、治療に要する大体の期間などについてお話いたします。
口腔衛生指導は、矯正治療をうけるために必要な正しい歯みがきの方法についての指導です。
矯正治療の進め方は、患者さんの来院時期と、不正咬合の程度や状態によって違ってきます。
診断結果の説明後、永久歯咬合の矯正治療をすぐに開始することもあります。また不正咬合の治療が手遅れとならないように、すでにかみ合わせに不正のみられ る部分や、顎骨の成長を正しくする治療をまず行ったのち、しばらく歯の生え代わりなどを定期的に診査し、その後永久歯咬合の矯正治療を行うという2段がま えの進め方が、より望ましい場合があります。
従って、矯正治療の期間も方法も一人一人違ってきます。治療に使われる装置は、患者さんの状態によっていろい ろですし、歯の大きさと顎の大きさの調和がとれていないときには永久歯の数を減らすことによって、より良いかみ合わせをつくる場合もあります。
永久歯咬合の矯正治療が実際に始まると、患者さんは月に一度くらいの割合で通院し、処置を受けなければなりません。(治療期間:約24〜30か月間 通院回数:24〜30回)
そして永久歯咬合の治療が終わってから も、後戻りを防ぐために、またアフターケアのために年2~3回通院していただく保定期間が必要です。
矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について
- 矯正歯科装置装着後に違和感、不快感、痛みなどが生じることがあります。一般的には数日間〜1、2週間で慣れてきます。
- 歯の動き方には個人差があります。そのため予想された治療期間が延長する可能性があります。
- 矯正歯科装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院など、矯正歯科治療には患者さんの協力が必要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
- 治療中は矯正歯科装置が歯の表面に付いているため食物が溜まりやすく、また歯が磨きにくくなるため、むし歯や歯周病が生じるリスクが高まります。
したがってハミガキを適切に行い、お口の中を常に清潔に保ち、さらにかかりつけ歯科医に定期的に受診することが大切です。また、歯が動くと隠れていたむし歯が見えるようになることもあります。
- 歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることや歯肉がやせて下がることがあります。
- ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
- ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。
- 矯正歯科装置などにより金属等のアレルギー症状が出ることがあります。
- 治療中に顎関節の痛み、音が鳴る、口が開けにくいなどの顎関節症状が生じることがあります。
- 治療の経過によっては当初予定していた治療計画を変更する可能性があります。
- 歯の形の修正や咬み合わせの微調整を行ったりする可能性があります。
- 矯正歯科装置を誤飲する可能性があります。
- 矯正歯科装置を外す際にエナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
- 動的治療が終了し装置が外れた後に、現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物)などをやりなおす必要性が生じる可能性があります。
- 動的治療が終了し装置が外れた後に保定装置を指示通り使用しないと、歯並びや咬み合わせの「後戻り」が生じる可能性があります。
- あごの成長発育により咬み合わせや歯並びが変化する可能性があります。
- 治療後に親知らずの影響で歯並びや咬み合わせに変化が生じる可能性があります。また、加齢や歯周病などにより歯並びや咬み合わせが変化することがあります。
- 矯正歯科治療は一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。
|